世界最高レベルの高性能無機分離膜で


めざすカーボンニュートラル

化学製品などを製造するためには、蒸留や蒸発が使用されているが、これら分離プロセスのエネルギー消費量は大きく、化学産業全体の約40%にも上ると言われている。私たちは大きなエネルギーを必要とする分離プロセスを、より省エネルギーで環境負荷の小さい膜分離プロセスへ置き換えるため、高い性能と耐久性を兼ね備えた無機膜の開発を行っている。特に、二酸化炭素や水素などのガス分離や有機溶媒の分離などに注力して研究している。

所属
関西大学 環境都市工学部
エネルギー・環境工学科
代表者
荒木 貞夫
荒木 貞夫

関西大学 環境都市工学部
エネルギー・環境工学科 准教授
荒木 貞夫 Sadao Araki

2011年関西大学環境都市工学部助教、2016年准教授。2016年Imperial College London客員研究員。気体分離、液体分離用の無機分離膜及び、無機膜を用いた反応・分離プロセスの研究、開発を行っている。

SOCIAL社会実装

当技術を利用することで、
多様で高効率な分離が可能に

私たちの分離膜を用いることで、有機溶媒分離においては、これまで廃棄されていた有機溶媒の再利用や、高価な金属錯体などの効率的な分離が可能になる。ガス分離においても、バイオガスや天然ガスなどに含まれる二酸化炭素とメタンの分離や、窒素とメタンの分離などへの適用が期待できる。実用化するためには、実際の溶液やガスを使って予想される性能が問題なく出るかを確認する必要がある。ニーズのある企業とともに実用化に向けて育てたい。

ORIGINALITY研究の独自性

細孔径を精緻に制御する技術で、
高性能な分離膜を開発

私たちの研究の独自性の一つに、膜の表面に機能的な化学種を付与することが挙げられる。例えば、有機溶媒を透過させるために最適な疎水性の官能基を予測し、シリカ膜の表面に導入する。また、ガス分離用のゼオライト膜においても、化学種を導入することで細孔径を精緻に制御することができる。これらの技術によって、多くの分離系において既存の分離膜よりも優れた性能を示す膜の開発に成功している。

VISION将来の展望

実装に向けた実証実験を重ね、環境
負荷の低減、持続可能な社会の実現へ

今後は、シリカ膜やゼオライト膜の性能の向上を図ることはもちろん、分離膜の大面積化やモジュール化、実液・実ガスなどの試験を、着実に進めたいと考えている。また、これまで分離が検討されてこなかったような物質を、我々の分離膜であれば分離できるという例や新しい分離材料の探索を行っていきたいと考えている。社会実装できれば、環境負荷の低減、持続可能な社会の実現にも大きく貢献する技術であることは間違いないと考え、様々な角度から膜プロセスの発展に寄与できる研究・開発を続けていきたい。

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