アルコールの健康リスクを指標とする


健康管理サービス開発

我々はがん発症とアルコール摂取の関係について長年研究し、食道扁平上皮がんについてアセトアルデヒドが食道上皮細胞に障害を及ぼす機序を示した。さらに人への応用のためにアセトアルデヒド脱水素酵素の機能に着目し、個々人のアルコール代謝能力を呼気で測定する装置を開発した。同じタイプの遺伝子変異を持つ人でも個人それぞれのアルコール代謝能力には差が大きいことがわかってきている。ドッキングシミュレーションを通じた発がん予防のための創薬開発も進めている。

所属
京都大学 大学院医学研究科
腫瘍薬物治療学講座
代表者
武藤 学
東 雅之

京都大学 大学院医学研究科
腫瘍薬物治療学講座 教授
武藤 学 Manabu Muto

国立がんセンター東病院を経て2007年より京都大学大学院医学研究科消化器内科学講座准教授、2012年より腫瘍薬物治療学講座教授。専門は消化器がん薬物治療と精密がん医療。京大病院がんセンター長など院内の要職を兼務。

SOCIAL社会実装

画期的な健康管理サービスを
事業所や従業員向けに展開

アルコールは300以上の疾患に関連するとされ、特に日本を含むアジア人はアルコール代謝能力が低く、健康障害を起こしやすいとされている。本事業では①個人のアルコール代謝能と職域健診データおよび過去の罹患歴などを参考に大規模なデータベースを構築②アルコール摂取管理ツールを開発③職域検診を活用した健康経営サービス④アルデヒドによる健康障害予防、という4段階の事業を、事業社および従業員向けサービスとして展開する。

ORIGINALITY研究の独自性

個々人のアルコール代謝能力と
健康情報を組み合わせた新システム

WHOは、飲酒は喫煙と同様、ヒトに有害なものとしているが、東アジアでは地域特有の遺伝子多型(ALDH2)のため、個別のアルコール代謝能力に基づくアプローチが必要だ。例えば台湾ではアルコール感受性に関する啓発が進み、ALDH2の遺伝子検査が提供されているが、個人の具体的なアルコール代謝能力と健康情報を組み合わせた本事業とは明らかに異なる。リスク毎に層別化した予防医療である本事業は、健康社会の実現に必須と考える。

VISION将来の展望

国民の健康向上とともに、
世界の飲酒習慣管理市場を見据える

WHOは、危険な飲酒を2030年までに10%減少させるとし、特にアルコール摂取のモニタリングの必要性を提言している。しかし、現在それを実現するツールは存在しない。今後、海外投資家に日本市場の健全性を示すには、タバコの次のターゲットとして、飲酒習慣と健康被害を管理する社会的な仕組みが必要となる。本事業は、国民健康の向上を最終ゴールとしながら、まず世界的にもニーズが高まる飲酒習慣管理市場を見据え、事業化を検討する。

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